2003年03月27日 木曜日
ストーリーテラー末吉正子さん、カナダで紙芝居のワークショップ
by Yuka Kajihara-Nolan
Japan Abroad
3月23日、第75回アカデミー賞にて、宮崎駿監督作品「千と千尋の神隠し」が長編アニメーション賞を獲得した。日本の視覚文化の素晴らしさが認められた一瞬であった。ジャパニメーションの源を考える時、ふと紙芝居が思い浮かぶ。
日本では現在、一般に保育園や幼稚園で先生たちが、語りの教材として用いている紙芝居。題材は、昔話から、創作物語までさまざまだ。その昔、紙芝居屋のおじさんが、自転車の荷台に水飴やお菓子を積んで町の公園や路地裏へ出かけ、放課後に集まるこどもたちを相手に紙芝居を披露したものだった。お菓子を買ったこどもたちは、お話が聞きやすい前列に陣取る。テレビのない時代のこどもたちの最大の娯楽といえた。今では、テレビやコンピュータがその役割を占め、プロの紙芝居屋さんの数は激減している。
幼い頃に、紙芝居に魅せられ、長じてストーリーテラーの道を歩んだのは、末吉正子さん。先の2月にカナダのトロントで催されたストーリーテリング・フェスティバルの招待を受けて来加した。「4歳くらいの頃、お話の続きが聞きたくって、紙芝居屋さんのあとをついて隣町まで行って、帰れなくなったこともありました。おまわりさんに連れられて家に帰れたんですが。わたしの語りのスタイルは、紙芝居のおじさんの影響かもしれません」と末吉さん。
20年ほど前に、地元の図書館で絵本講座を学んだのをきっかけに、人形劇、語り、紙芝居をこどもたちに披露するようになった。10年ほど前に移住した米国コネティカット州で著名なストーリーテラーと知り合ったことから語りの道へ。アメリカ滞在中に図書館で語りを初め、多くのストーリーテラーと知り合い刺激を受けた。
今回のトロント訪問では、日本の昔話を英語で披露するのみならず、紙芝居の使い方をトロント公共図書館の児童司書に指導した。参加した司書18名は、紙芝居の奥義をかいま見て驚いていた。拍子木をうちあわせて聴衆を集めたり、台紙を引き抜くタイミングや台紙の裏のテキストの読み方など、実際にやってみた司書たちは、「正子は素晴らしい語り手だ」、「日本のビジュアル文化ってすごい」、「絵本を読み聞かせるのと、紙芝居を語るのは違う」、「すべてが新鮮で楽しかった」と童心にもどったように喜んでいた。トロント公共図書館では、既に紙芝居を各種購入している。末吉さんに指導を受けた司書たちが、今後、カナダのこどもたちにを紙芝居の楽しさを広めてゆくことだろう。
紙芝居は、物語を伝える大切な手段のひとつ。「物がたり」の「物」は「もののけ(霊、Spirit)」に通じていると言う末吉さん。こどもたちに色んな話を語ることで、昔話の叡智を、「愛と平和を伝えたい」と目を輝かせて話してくれた。
日本語と英語の紙芝居の購入先
http://kamishibai.com/
末吉さんは日本にテレブレーションを紹介した人でもある。テレブレーションに関しての英文サイト
http://www.tellabration.org/
Posted by Yuka Kajihara-Nolan at 2003年03月27日 10:34
Comments
This is great! I had no idea that kamishibai were getting air time in North America. I used to love going to our local 図書館 to read 紙芝居 to my daughter. They even had wooden kamishibai theaters that we could use at the library. The problem was, she never wanted to go home! 「ママ〜 もう一つだけ紙芝居〜」
「ほんと、紙芝居は楽しいですよね。おじょうさんのお気持ちわかります。ア
メリカの大都市では、紙芝居がポピュラーだと聞いているのですが。私の住む
ト ロントでは、末吉さんの活動で初めて知ったというカナダ人ばかりでし
た。
紙芝居をつうじて平和の願いをと活躍されている方は、ほかにもおられるよう
です。プロの紙芝居屋である杉浦さんのサイト<a href="http://www.moriguchi-city.com/kamisibai/">http://www.moriguchi-city.com/kamisibai/</a> を見たら、小学校3年生を前に杉原千
畝に材をとった紙芝居を披露したそうです。
ユダヤ人に命のビザを発給した杉原千畝に関してですが、アメリカでは素晴ら
しい絵本がでています。"Passage to Freedom, the Sugihara Story".
Written by Ken Mochizuki. illustrated by Dom Lee. Afterword by
Hiroki Sugihara. (New York: Lee & Low Books, Inc, 1997.)
知人は、今、「カナダの出版社に紙芝居の製作出版をよびかける」と張り切っ
ています。そのうち「赤毛のアン」の紙芝居もできるかもしれません。わくわく。
こんにちは、初めてメールします。
私はカナダ、BC州北端で殆どユーコン準州に隣接する小さな町、Atlin(アトリン)に住む日本人です。この夏末吉さんが、Yukon Storytelling Festivalに遥々日本からYukonまでいらっしゃると言う事を企画担当者の方から先日偶然伺いました。私の夫はアラスカ、カナダ北西部を占める先住民族Tlingit族の血を引いており、現在Tlingit Family Learning Centreと言う保育園でTlingit族の子供達を相手に時々仕事をしています。又、カナダのローカル紙日加タイムスにもローカルリポーターとして記事を書いており、先日トロントで語りをされた末吉さんの記事を読ませて頂きました。また私にも3人の子供達があり、それだけに、今回末吉さんの来 Yukon報にとても嬉しく楽しみにしています。
AtlinはYukonの州都Whitehorseから約2時間の所ですが、ここまで末吉さんが足を伸ばされて、Tlingit族の子供達に楽しい語りをして頂けないかな、、、と図々しくも思い、今回メールさせて頂きました。勿論お礼は関係者と話し合って、ご希望に添えるか分りませんが、させて頂くつもりです。AtlinにはTlingit族またGold Rushからの白人や移民など約400人の住民が住み、日本人は私だけです。が、先住民族の中には日本人の血を持つ人達もいます。
私は、常々保育園の子供達に紙芝居的に先住民族のお話を聞かせたいな、、、と思っていました。是非、このメールが末吉さんに届く事を願い、良いお返事を頂けないかと思います。
尚、この夏Atlinでも、Tlingit族の子供達を対象にしたCulture CampやMusic Festival、Storytelling Festivalが7月にあります。
直接、末吉さんにメールを差し上げたかったのですが、ここに最初に辿り着いたのでメールさせて頂きました。このメールをお伝えして頂けたらと思います。
Midori Shimizu Kirby